1. 花粉症は誰でもなる可能性がある
コロナ禍ですが、またまた、花粉症シーズンがやってきます。
花粉症は、アレルギー体質である、ないにかかわらず、誰でもかかる可能性のある疾患です。
花粉症のシーズンには、きちんと対策をして、なるべく症状が起きないようにしたいものです。
花粉症は、スギが一番有名ですが、ほかにもマツ、ブタクサなどでもかかるものであり、人により、アレルゲンはさまざま。
花粉を鼻からのど、目から取り込むと、体の免疫機能が反応して抗体をつくり、再び花粉が吸いこまれると、その抗体が異物として反応して、ヒスタミンなどの物質を放出します。
このヒスタミンにより、神経、粘膜の血管が刺激されて、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が現れます。
アレルギー体質の人は、もともと花粉症にかかる可能性が高いです。
しかしアレルギー体質でなくても、ずっと花粉を吸い込み続けていることにより、体の一定の許容量を超えるときに、突然花粉症を発症してしまいます。
ある日突然発症してしまう、そこに花粉症の恐ろしさがあります。
花粉症が増えている原因は、食生活の問題、大気汚染、ストレスなどが大きく影響していると言われています。
また、戦後にスギを多く植林して、花粉飛散量が増えたことも、その理由として挙げられています。
花粉症の大きな原因として、食生活の問題が言われています。
花粉症のアレルゲンは花粉です。なにかの食べ物が原因で発症することはありません。
しかし、仕事が忙しくて、睡眠不足になっていたり、ストレス過多の状態だと、きちんとした食事がとりにくくなります。
生活リズムが崩れたり、食生活が乱れて栄養が偏ってしまったりしがちです。
すると、自律神経が乱れて免疫機能が正常にはたらかなくなり、花粉症の症状が出やすくなってしまいます。
睡眠不足や食事が偏っていると、風邪を引いたり、疲れやすくなったりと、体に不調が起きやすくなりますが、花粉症の症状の出方もこれと同じです。
自分の体の状態を見て、ひどくなる前に生活を規則正しいものに替えていくことが大切です。
戦後、日本人の食生活は欧米化が進みました。
肉類の摂取量が増えて高たんぱく、高カロリーの食事が多くなっています。
そのような食生活の変化も、花粉症と関連があると言われています。
脂肪分の多い肉類は、アレルゲンではありません。
しかし、長い間にわたて、高たんぱくで高カロリーな食事を続けていると、体質的に、花粉症になりやすくなると言われています。
花粉症の症状が出てしまったら、できるだけ高カロリーになりがちな食事は控えるようにしましょう。
なるべく、低カロリーで栄養バランスの整った和食中心のメニューに切り替えるべきです。
そしていろいろな食べ物をバランスよく組み合わせて、さまざまな栄養素がとれるように気を付けてみてください。
地道ですが、規則正しい食生活を続けていくことで、徐々に花粉症の症状は改善されていくでしょう。
2. 花粉症の症状が出たら控えたい食材
花粉症の症状を抑えるには、バランスの良い食生活をするのが効果的です。
そのためには、タンパク質の摂り方には注意したいです。
タンパク質は、免疫機能を高めるために必要な栄養素です。
しかし、摂りすぎると免疫機能が過剰にはたらき、症状が出やすくなります。
花粉症が気になる季節は、高カロリー食にならないようにしましょう。
脂肪分の多い肉類は避けて、赤身の肉やささみ、魚をより多く食べるようにしましょう。青魚には不飽和脂肪酸のEPA、DHAが含まれています。
これらは、アレルギー症状を抑えるはたらきがあることが分かっています。
甘いものも控えたいです。
ケーキやアイスクリームなどの甘い食べ物は、食べ過ぎると炎症を起こしやすくなると言われています。
甘いもの、冷たい食べ物は食養生では「陰性」にカテゴライズされています。
体を冷やすので、血行を悪化させ、症状を悪化させます。
体が冷えると、免疫力が低下しやすくなるのも、花粉症を考えると控えたいです。
お菓子の他にも、コーヒー、南国系の食べ物、牛乳なども体を冷やす傾向があるので、症状がひどいときには控えるようにしましょう。
アルコールや香辛料などの香辛料も控えたいです。
唐辛子など、辛味の強い香辛料をたっぷり使った食品、アルコールなどはそれそのもので花粉症を引き起こすことはありません。
しかし、香辛料は、粘膜の毛細血管を刺激して、鼻水が出やすくしてしまいます。
花粉症に有効だと言われているアルコールが発売されています。
しかしやはり、アルコールは刺激物質ですから、アルコールである以上、ほとほどにとどめておいた方がよいでしょう。
タバコの煙に含まれる有害物質は、鼻の粘膜を刺激して、体内の活性酸素を増やしてしまいます。
これが花粉症の症状を悪化させるもとになります。
タバコは控えるようにしたいものです。
反対に、花粉症の時期はぜひ摂りたい栄養素というのがあります。
それが、ビタミンとミネラルです。
ビタミンやミネラルは、体の機能をスムーズにはたらかせてくれます。
とくにビタミンB6は、免疫機能を正常にさせる効果があります。
ビタミンB6が不足すると、アレルギーが出やすくなります。
花粉症の症状である鼻、眼の粘膜の炎症やかゆみは、活性酸素が増えるとひどくなりやすいです。
このため、ビタミンC、A、Eなど、抗酸化作用のあるビタミンを摂取すると、症状の出方を抑えやすくなります。
ミネラルでは、亜鉛がぜひ摂取したい成分です。
亜鉛は不足すると免疫機能が低下してしまいます。
加工食品の添加物には、亜鉛の吸収を阻害するものもありますので、花粉症シーズンは加工食品をなるべく抑えたいものです。
加工食品は、亜鉛を吸収させにくくする以外に、活性酸素を増やしてしまう要素があります。
体内で活性酸素が増えると、花粉症の症状が出やすくなります。
加工食品ではなく、生鮮食品を食べるようにしましょう。
3. 花粉症シーズンは果物とリノール酸に要注意
野菜や果物には、ビタミンやミネラル、活性酸素の増殖を抑える抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。
しかし、花粉症になると、果物アレルギーになりやすいと言われています。
特定の食べ物を食べると、ノドや唇、舌のかゆみ、痛み、消化器系の症状が出やすくなります。
花粉症の鼻水、せき、目のかゆみのほかに、果物アレルギーの症状も出て来てしまっては困りますから、花粉症シーズンは果物を控えたいです。
リノール酸にも要注意です。
リノール酸は、植物油に含まれています。
リノール酸は以前、コレステロールを下げる作用があるとかつて言われていました。
しかし現在では、リノール酸を摂りすぎるとアレルギー症状を促進することが分かっています。
リノール酸は必須脂肪酸です。体に無くてはならない栄養素です。
しかし、現代人は普通に生活しているだけで、摂りすぎてしまう傾向があります。
だから無理に摂る必要はないのです。
揚げ物、マヨネーズ、ドレッシングなど植物油を多く使った料理は、食べ過ぎないようにするのが無難です。
逆にアレルギー予防に役立つ脂肪酸は、α-リノレン酸です。
体内でEPA、DHAに代謝されます。
α-リノレン酸は、しそや、フラックスシードの油に含まれています。
酸化しやすい油なので、加熱はせず、サラダのドレッシングなどで使うと良いでしょう。
花粉症シーズンになると、「これは効くらしい」という民間療法の情報がさかんに飛び交います。
花粉症などのアレルギー症状は、慢性的な疾患です。
だから、病院に通っても完治せず、民間療法を試す人が多いのでしょう。
民間療法は、口コミで効果を判断するしかありません。
患者自身の評価ということになり、科学的検証はありません。
だから、有効率が高いものでも、逆に効果が認められなかったとい結果が出ているものも多いのです。
鼻スチーム療法は、温度を守れば副作用もなくて、一時的効果は得やすいです。
妊婦さんなど、お薬を飲みたくない人には適しているかもしれません。
しかし、なかにはリバウンド現象により、一過性に鼻閉がひどくなる場合もあるようです。
利用するときには、注意が必要です。
花粉症を緩和するためには、食生活を規則正しい、バランスのとれたものにすることと同時に、花粉症に役立つとされる食材も、あわせて意識して取り入れるようにすると良いです。
たとえば、花粉症にはポリフェノールが効くといわれています。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、それが花粉症の症状を抑える効果があるとされているのです。
ほかにも、レモンバームティーや、ロズマリン酸も、つらい花粉症の症状を改善するのに役立つとされます。
つらいシーズンだからこそ、乗り切るための対策をいろいろととっておきたいものです。
食事で体の中から改善していけば、花粉症用の薬を飲んで症状を抑えるよりも、より根本的な治療につながりやすくなるでしょう。
4. ロズマリン酸で花粉症を緩和する
植物に含まれているポリフェノールが、花粉症の症状の改善に役立つといわれています。
その中でも、シソ科のハーブに含まれるロズマリン酸は、花粉症を抑えるものとして注目されています。
ロズマリンは、植物性の化学物質、ファイトケミカルの仲間です。
シソ科の植物に含まれているポリフェノールのひとつです。
ロズマリン酸は、過剰になっている免疫反応を正常に戻してくれると言われています。
ステロイド剤に代わる、副作用のないアレルギー軽減物質として、期待されているのです。
シソには花粉症改善に効果があると言われています。
このシソにも、ロズマリン酸は豊富に含まれています。
花粉症と活性酸素の研究では、ロズマリン酸の花粉症をおさえる効果が確認されています。
花粉症と活性酸素の研究に携わる一石英一郎氏(東北大学 未来科学技術共同研究センター 量子生命反応工学創製部門/医学博士)は、抗酸化活性が大変強いシソエキス中のロズマリン酸が花粉症に実際に効果のあることを証明した、と報告しています。
ヒトの実験では、ロズマリン酸50mgを摂取すると、効果が確認されています。
ロズマリン酸50mgというのは、赤シソでいうと、20枚程度となります。
ロズマリン酸は、青シソよりも、赤シソの抽出液のほうが、より効果が大きいといわれています。
赤シソは、市販される時期が限定されています。
また一度にたくさん食べるのも難しいです。
そこで、梅干しを漬けるタイミングで、赤シソジュースをつくっている、という人がいます。
このように、タイミングを合わせて作っておくと良いのかもしれません。
赤シソが市販されるのは6月ごろで、肝心の春先からの花粉症対策として使うことができません。
そこで、市販のシソジュースを飲むと良いかもしれません。
すでにできているので、買ったらすぐに飲めるのが良いです。
沖縄のクミスクチンというシソも、花粉症に効くのではないかと注目されています。
クミスクチンは、沖縄に古くから伝わる三大薬草の1つです。
シソ科の多年草で、ロズマリン酸が豊富に含まれています。
花粉症対策のお茶として、メディアで紹介されることが多い植物です。
ハーブではほかに、シソ科のローズマリー、レモンバームも、豊富にロズマリン酸が含まれていますからおすすめです。
ハーブティーとして、水分補給のときに飲むと良いですね。
花粉症の症状の強さは、活性酸素と大きな関わりがあることが分かっています。
活性酸素を抑えることができれば、花粉症予防にも役立つようになります。
予防対策として、ロズマリン酸は意識して摂取しておきたい成分です。
つらい花粉のシーズンはあわせて、花粉がつきにくいようにジャケットを羽織ったり、マスクやメガネでガードしたりして、花粉が体内に入り込まないようにすることも大事です。
家の中に入る前に、玄関でパンパンと花粉を落としてから入るようにするといいですね。
5. 乳酸菌が花粉症に効くらしい?
最新の研究により、乳酸菌が花粉症に効くらしいということが分かってきました。
それには、アレルギーのもとになる「IgE抗体」が関係しています。
花粉症は、花粉というアレルギー高原が粘膜に付着し、体がこれを異物と捉え、IgE抗体をつくることで発症します。
体内で花粉のIgE抗体ができると、花粉症予備軍です。
花粉症の血液検査では、血液中のIgE抗体数を調べてアレルギーの目安にすることがあります。
花粉症予備軍になったら、その30~50%が発症すると言われています。
なぜ予備軍から発症に移行するのかというメカニズムは、まだ明らかになっていません。
しかしともかく、発症の過程はIgE抗体が関わります。
IgE抗体は、粘膜などにある肥満細胞に取りつきます。
取りついたIgE抗体に、アレルギー抗原である花粉が付着します。
肥満細胞からヒスタミンやロイトコリエンなどの化学伝達物質が放出されると、神経や血管を刺激し、鼻水、目のかゆみなどの花粉症の症状が現れます。
なぜ、IgE抗体が多く作られるとアレルギーが発症するのでしょうか。
アレルギー高原の花粉が体内に侵入すると、「ヘルパーT細胞」という細胞が花粉の存在を知ります。
ヘルパーT細胞は、アレルギーを発症させるカギとなります。
ヘルパーT細胞には、Th1とTh2という2種類があり、普段はお互いに均衡を保っています。
Th1細胞は、細菌感染に対応し、Th2細胞は抗体をつくることに関係します。
Th2細胞が過剰になると、分泌される物質により、IgE抗体がつくられます。
花粉侵入の合図があると、体内でTh2細胞が過剰に増えて、Th1とTh2のバランスが崩れます。
IgE抗体は多く放出されてアレルギー症状になるのです。
そうしたことを踏まえ、ヨーロッパでは、アレルギー性の湿疹を対象に、腸内細菌とアレルギーの研究がさかんに行われています。
乳酸菌を与えることで、崩れてしまったTh1細胞とTh2細胞のバランスを元に戻せるのではないか、という研究が進められています。
2004年頃からヒトへの臨床試験も行われ、一部の乳酸菌がTh1細胞を活性化させて、Th2とのバランスを均衡に戻してくれることが分かっています。
日本でも、崩れてしまったTh1とTh2の細胞のバランスを整えるための乳酸菌の研究が行われています。
この流れでいうと、将来的には、アレルギー症状を緩和させてくれる乳酸菌が特定されるかもしれません。
ヨーグルトが花粉症に効くらしい、というのは良く言われることですが、それには、一部の乳酸菌を含むヨーグルトが、IgE抗体が増えにくい環境にしてくれる、ということによるのかもしれません。
花粉症の症状はつらく、どのような対策が効きやすいのか、というのも個人差があるものです。
いろいろ試してみて、自分に合いそうな対策を調べてみるのも良いかもしれませんよ。