1. ストレス解消法:〇か×かで考えない
ストレスってつらいですよね。
ストレスをためないようにしようと思っても、知らず知らずのうちにためこんでいるもの。
それはあなたの思考体形がそうさせているのかもしれませんよ。
たとえば、「〇か×か」でいつも考えてしまうクセを持っているという人。
これは、認知のゆがみに関係する志向です。
なぜか楽しく生きられない、なぜか人間関係を楽しめない、なぜかマイナスに考えてしまうというとき、自分の認知体形にあるゆがみが関係しているのかもしれません。
うつ病など、心の病の精神療法に「認知療法」というのがあります。
この認知療法で知られたバーンズは、認知のゆがみを10種類に分類しています。
〇×で考えるクセはそのなかの「オール・オア・ナッシング」の思考と同じです。
物事をすべて白黒つけて分けてしまおうとする認知のことを言います。
なにかに出会うと、とっさに〇×で分けてしまう傾向があると、世の中が不安定になると、すぐに影響されてしまいます。
例えば、ひところはやった「勝ち組」「負け組」といったカラフルな色分けに翻弄されてしまうのです。
認知のゆがみというのは、そもそも非合理的な考え方です。
たとえばさっきの勝ち組、負け組で言うと、「〇〇できない人は負け組」という発想でも、そもそも何を根拠にそう言い切れるのか、というのは大いに疑問です。
根拠のない言い回しに振り回されて、自分や他人の価値を否定するとか、抑うつ的になってしまうのはよくありません。
こういう風に、物事をなんでも白黒つけて考えてしまいがちなのは、私たちをとりまく環境が、「結果重視」であるせいかもしれません。
仕事をすれば、ほとんどの場合、その成果でしか評価されません。
受験でも、結婚でもそうです。
受験の合格・不合格、または既婚・未婚のどちらかでしか注目されないことが多いですよね。
頑張っていろいろトライして、けなげに生きているのに、注目している人って少ないものです。
そんな中で生きていれば、いやがおうにも、白黒つけて生きてしまいたくなるものです。
でも、やっぱり物事って、はっきり白黒つけられるものではないのです。
今は「×」と思っていることが、あとになって、自分を生かすための良い財産になった、というようなことは決して珍しくありません。
だからこそ、今、ここで判断するのではなく、長距離の視点でものを見るのが大切なのです。
根拠もないのにすぐ判断を下そうとすると、自分や他人を追い込みすぎてしまいます。
そして心がつらくなります。
自分を振り返ってみて、そういう風に、すぐ判断しているな、と思ったら、意識して修正してみてはいかがでしょうか。
そのたびごとに、自分に問いかけるのです。
「それは根拠があるのか?」「その考えは現実的か?」などなど。こういう風に、問いかけて、考えを修正していけば、白黒つけてしまうクセから脱して、もっと心が楽になるはずですよ。
2. ストレス解消法:「してくれない」と思わない
気づけば、「あの人は○○してくれない」と思ったりしていませんか?
仕事が忙しい彼氏に「どこにも連れて行ってくれない」とグチをいってみたり、仕事が上手くいかなくて「誰も私のことを評価してくれない」とグチってみたり。
身近に友達がいないと「誰も遊びに誘ってくれない」と言ってみたり。
こういう風にグチる現代人は、増えているようです。
こういう風に思う多くの人は、自分の期待に、パートナーや親友など「親密な相手」がこたえてくれないと、不満を持ちます。
親密な相手だからこそ、「〇〇してほしい」という期待を抱いてしまいます。
そしてそれがかなえられないと「〇〇してくれない」と不満を持つ。
この不満は放っておくと、怒りや恨みといった、強い負のエネルギーになってしまいかねません。
いくらこっちが、「〇〇してほしい」と思ったとしても、相手には相手の都合があります。
当たり前ですけどね。
必ずしも、自分の期待通りのことをしてくれるとは限りません。
自分のことを振り返ってみてもそうですね。
忙しくて遊びにもいけない、休むこともできない、人とおしゃべりすることもできない。
そしてあなたがそれをするのを待っている人がいれば、「〇〇してくれない」と思われても仕方がないのです。そういうものです。
それを、「してくれない!」と文句を言っても、重いと受け取られるだけです。
だからと言って、そういうグチをひとりで呟いても、救われることはありませんよね。
どんどん気分が暗くなっていくだけです。
そもそも「〇〇してくれない」と思う気持ちをひも解いてみると、依存心が強いから、ということが言えそうです。
相手が何かをしてくれるのを待つ前に、自分から提案してみるといいかもしれませんよ。
デートの時に、彼からの提案を待つだけではなく、自分自身が何をしたいかを考えて、提案するのが、ある意味自立したお付き合いのカタチと言えます。
「いい季節だから、ピクニックに行ってみない?」など、自分も提案すれば、彼氏もお付き合いをラクに考えられるはずです。
恋人との関係だけではなく、仕事でも、友達関係でも、柔軟な考えで選択肢を持つことはいいことです。
あるいは、「〇〇してくれない」と思うのは、自分が充実していないフラストレーションから来るのかもしれません。
自分のやりたいことがわからない、仕事が上手くいかない、自分の力に限界を感じている、などなど。
自分への欲求不満を持っていると、イライラするものです。それが無意識のうちに「〇〇さんが〇〇してくれないからだ」と、身近にいる誰かのせいにしてしまうのです。
こうやって誰かのせいにしておけば、自分で問題に直面して、傷つくのを避けられます。これを「防護規制」と言います。
でも、それを責められた相手はきっと「?」になってしまうでしょう。
いちゃもんをつけられているようなものです。
こういうことをしていても、他人といい関係は築けないし、自分の心も軽くなりませんから、まず、自分自身と向き合うことから始めてみるといいかもしれませんよ。
3. ストレス解消法:「面倒くさい」と思わない
やるべき仕事が増えるとか、物事がうまく進まないと、つい「面倒くさいなー」と思ってしまいがちですよね。
この気持ちを誰かと共有すると、お互いの煮詰まった気分が少し楽になります。
でもそれだけで終わることはありません。
「面倒くさい」が「どうしてこんなことをしないといけないのか」という怒りになり、「これはきっとあいつのせいだ」という毒気のある言葉に変貌してしまいます。
こうなると口が止まらなくなります。
当初は思ってもみなかったようなひどい悪口が自分の口を飛び出してしまうようになります。
最初はただ、「面倒だなー」と思っていただけのはずなのに、いつのまにか「悪いのはあいつだ!」になり、「自分はついていないなあ」という嘆きになり、ネガティブな思いにとらわれてしまうのです。
この場合は、最初の言葉を変えることで、そのあとのゆがみを直すことが可能です。
最初まで戻って、自分の言葉を振り返ってみましょう。
もしも最初に出す言葉が毒気のある言葉でなければ、感じ方はずいぶん変わっていたのではないでしょうか。
「面倒くさい」に似た言葉で言うと、「手間がかかる「ややこしい」という言い方があります。
「この仕事、手間がかかるね」「この仕事はややこしいね」と言ってみると、それが乗じて、急激に不運を嘆いたり、他人の責任を追及したりするようなことはないはずです。
こういう風に少し言葉の使い方を選ぶだけで、相手に与える印象はぐんと変わります。
それに、自分自身や他人、環境、過去、未来への考え方も変わるものです。
最初が肝心。
ぜひ、何気なく使っている毒のある言葉を、マイルドな表現に変えるようにしてみてください。
言葉遣いを変える習慣を変えるだけで、ストレスもずっと減っていくはずですよ。
めんどくさいなあ、いやだなあと思わないためには、自分自身の時間を充実させることが大切だったりします。
その方法として、「アウトプット」「インプット」「パスタイム」「OIPのバランスづくり」を試してみてはいかがでしょうか。
アウトプットというのは、仕事や家事、ボランティアなど、自分の力を自分以外のものに対して使うこと。
インプットは、勉強、情報収集、運動など、知識や体力をつけて自分づくりをすること。
パスタイムは娯楽や気休めの時間を持って、自分を癒すことです。
外では仕事ばかりして、休日はダラダラ寝ているだけ、時間を無駄に使っている。
こういうのは、アウトプットとパスタイムが多く、インプットがないときによくなるものです。
こういうときは、「OIPのバランスづくり」を考えてみましょう。
インプットの時間をつくることで、自分の心が満たされている感覚があるはずです。
他にも、お稽古事がたくさんすぎて飽きてしまった、というようなときは、インプットとパスタイムが多すぎるときのパターン。
こういうときは、アウトプットの要素を入れてみるといいですね。
仕事をもっと意識してやってみるとかですね。そうすると、人生が充実してきます。
4. ストレス解消法:「どうせ〇〇だから」と思わない
どうせ○○だから。
最近何もいいことない。
などなど、気づけばネガティブなことを言っていたりしませんか?
ただのグチだし、そんなの何でもない、なんていってはいけません。
ネガティブワードばかり口に出していると、本当に不幸を呼び寄せてしまいますよ。
日本には「言霊(ことだま)」という発想があります。
言霊というのは、言葉にあるとされる呪力のことです。
ポジティブワードをいつも口にしていると、自然と幸せが訪れます。
反対に、ネガティブワードをいつも発していると、その力により、不幸が呼びこまれてしまう、という発想です。
ただの迷信ではありません。
実際、あなたの周りを見回してみるとそうであえるはずです。
いつもネガティブワードばかり発している人は、ほんとうにツイていない人が多いのではないでしょうか?
どうしてこんなに、気軽にネガティブワードが口を突いて出てしまうのでしょう。
そもそも、自分を高めたいとか、幸せになりたいと思う人は、めったにネガティブワードは言わないものです。
ネガティブワードを言ってしまうとのは、そのとき楽になりたいからです。
イライラしたときに、「むかつく」と言ってしまえば、その場のストレスは発散されます。
でも、言うまでもないことだけれど、それで解決することはありません。
それはいわば、ガス抜きのようなもの。
吐き出して、その場が楽になればいい、という単純な動機からされていることなのです。
でも人間は、楽であろうとすると、生き方もユルくなります。
楽しさに甘えて、自分を高められないでいると、心の底では自分に満足できなくなります。
そのジレンマが、ますますネガティブワードを口に出させてしまうのです。
ネガティブワードは、自分だけではなく、それを聞く周りの人にも影響を及ぼしてしまいます。
何気なく言った一言が、その場の空気を不穏なものにしてしまうからです。
コミュニケーションがぎくしゃくしてしまいます。
コミュニケーションというのは、お互いの言葉の響きあいなのです。
片方がネガティブなれば、反対もネガティブになってしまうものです。
ついネガティブワードを口にして、それでますます負のスパイラルに落ち込んでいるという自覚のある方は、この「響きあい」を意識して、コミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。
いいコミュニケーションが構築されるようになって、きっと心が軽くなっていくはずです。
とはいえ、いつもグチを言いたい気持ちを抱えてガマンしているのは、それはそれでつらいももの。
グチをやみくもにばらまくのではなく、内省に使う材料にしてみるのもいいでしょう。有効活用です。
ネガティブワードが思い浮かぶのは、今の自分に満足していないからです。
ならば、どこを替えればいいのか、そのために何ができるのかを考えるチャンスとするのです。
これがポジティブな発想でもあるのです。
言霊を意識しつつ、グチを有効活用していきたいですね。
5. ストレス解消法:ムリに落ち着こうとしない
生きていると、不安に思うこともいっぱいあるものです。
「この仕事、私にできるかな」「私の将来、大丈夫なのかな」。などなど。
こうした身近な不安だけではありません。
日本経済の先行き、大地震の不安、などなど、不安に思う材料には事欠きません。
不安やイライラって、いやなものです。
こういう「イヤな感情」がなければ、どれほど楽になるのかとも思います。こういう感情って、なくせるのでしょうか?
伝統的な療法として、「森田療法」というのがあります。
これは20世紀はじめに森田正馬という精神科医によって考案された療法。
この森田療法を使って、感情との付き合い方について考えてみたいと思います。
西洋医学では、症状というのは「治すもの」「制御するもの」と考えられてきました。
だから「不安だ」「イライラする」という精神症状を、薬で沈めて、マイナスにとらえがちな認知をプラスに持って行く「制御のための治療」がとられます。
しかし、森田療法は東洋医学であり、この考え方がちょっと違います。
症状というのは自然にでてくるので、なくせないと考えているのです。
精神症状につながる不快な感情も、あくまで自然の感情なので、そのままにしていくべきだということです。
不安を感じたときに、「気を強く持とう」と自分に言い聞かせますよね。
イライラしていたら、「もっと落ち着こう」と思ったり。
でもそういう自分の気持ちとは反対に、ますますその感情に支配されて、不安やイライラがつのったりすることはありませんか?
そこで、感情というのは変えられないのだから、そのままにしておいたほうがいい、と思ってみてはいかがでしょうか。
心が軽くなるのがわかるはずです。
これが森田療法の発想です。
森田療法には5つの「感情の法則」があります。
①感情をそのまま自然のままに任せると、ひとりでに上り下りして、消失する
②感情はその衝動を満足させれば静まり、消失する
③感情は同じ感覚に慣れると鈍くなって感じなくなる
④感情は刺激が継続して起こるときと、注意に集中するとき、ますます強くうなる
⑤感情は新しい経験で体得し、反復することにより、ますます要請される
この心は、「感情は自然に沸き上がり、意思の力ではどうにもならない。自然に消えていくので刺激せず、そのままにしておきましょう」というもの。
うーん、達観した考えですね。というか真実です。
アンガーコントロールなんかも、これに通じるところがありそうです。
森田療法では、そのときどきの感情に振り回される「気分本位」の行動でなく、そのときで何をしたいのかに基づく「目的本位」の行動をとるべきだといっています。
「あの人が苦手だからこの学校に入るのはやめておこう」ではなく、「この学校でこれを習いたいから参加する」というのが目的本位。
このように、目的に基づいて合理的に考えるところが森田療法の特徴。
ビジネスや教育など、医療を越えた様々な分野で活用されている考え方であるのはそのためです。
くよくよしてつらいというときは、森田療法を試してみてはいかがでしょうか?